2009年12月1日火曜日

多汗症治療に使われるボトックスとは

アメリカのアラガン社が製造販売しているボトックスは、FDA(米国食品医薬品局)にも承認された多汗症の治療薬としての医薬品なのです。今は多汗症の治療薬として使われているボトックスは、もともとは眼瞼痙攣や斜視を治すための薬でした。ボトックスの有効成分であるA型ボツリヌス毒素は、ボツリヌス菌が作る猛毒のうちのひとつです。猛毒のボツリヌス菌といっても、使われるのはほんのわずかで、多汗症の治療では血液中に入れられるのではないので、心配はありません。ボトックスは、筋肉の力を一時的にブロックするという力があります。筋肉の収縮を抑えるために、筋肉と神経のつながる部分に作用します。多汗症の治療として使われているボトックスは、ほかにもしわの治療薬としても働いているのです。神経伝達物質であるアセチルコリンから指示が出されると、大量の汗がエクリン汗腺からでて、多汗症の症状となります。このアセチルコリンの力を弱めることで発汗作用を抑えるのがボトックスで、こうして多汗症が治るのです。アポクリン汗腺はもうひとつの発汗源で、これがワキガのもとになっているのですが、ボトックスはこれには働きません。ボトックスのようなA型ボツリヌス毒素製剤には、イプセン社の開発したディスポートや中国製のBTXAがあります。BTXAは非常に安価な製品であることが売りですが、北米や欧州での販売実績に乏しく、日本ではほとんど使用されていません。

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